QuickShift(EURUSD,GBPAUDほか)分析【FX・ミラートレーダー検証】


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2015年4月17日

今回はQuickShiftについて分析してみます。長年プラス収支を重ねてきたストラテジーだけあって、利用者の多い人気ストラテジーです。






QuickShiftの特徴

大雑把に言うと、下記のような特徴があります。
1,最大保有ポジションは1。基本的には1時間足が織り成す大きめの波に対して上がれば売り、下がれば買いとトレンドの反対にポジションを持つ「逆張り」がメイン。ただし長期間トレンドが続くと順張りに転じるような臨機応変さも備えており、ある程度複雑なロジックが組まれていると思われる。

2,平均ポジション保有時間は約10日間とミラートレーダーのストラテジーの中では長い部類に入る。

3,汎用性の高いロジックになっているためか、多くの通貨ペアで統計学的に有意な収益を生み出すことに成功している。

4,ストップロスは-300pips。ただし利益確定も損切りも内部ロジックによるものが主である。指値決済ラインは設けられておらず決済シグナルが出るまでひたすらポジションを持ち続けるため、時に特大の利益を記録することがある。

5,ポジションを持たない期間が非常に少ない。ほとんどの時間においてBUYかSELLいずれかのポジションを持っている。また、決済するとほぼ同時に反対のポジションを新規で持つ「ドテン売買」を行うことが多い。

6,どちらかといえば値動きが小さめの相場が得意。極端に一方向に動く強いトレンド相場では大きなドローダウンを記録することもある。

7,勝率は通貨ペア毎に異なるがおよそ40%~55%程度。

8,平常時とかけ離れた危険な相場に突入すると運営者によって強制的に手動で全ポジションを閉じることがある。

9,通貨ペア同士で矛盾する方向にポジションを持たない。
(例:「EURUSD買い、USDJPY買い、EURJPY売り」といったグーチョキパーのジャンケンのように論理的に循環したポジションの持ち方はしない)


過去5年間、20通貨ペア同時運用の収支推移

QuickShift各通貨ペア毎の成績はミラートレーダーのストラテジー検索画面で確認することができますが、多通貨同時運用した場合の成績を確認することはできません。
そこで20通貨ペア同時に動かした場合の収支推移をまとめてみました。

quickshift1

さすがに安定感のあるトレードを続けています。
5年間で527,316円の利益を獲得したということは、1年あたりで平均105,463円の利益を記録したことになります。一方でその間の最大ドローダウンは-100,098円ですので、簡単にまとめると、QuickShiftを20通貨ペア1Kずつで運用すると、最大で約10万円を失うリスクにさらされるかわりに、毎年平均で10万5千円の利益を出し続けてきたストラテジーだと言えます。

QuickShiftのロジック予想

売買タイミングから察するにフーリエ解析のような波動理論を使ってるのではないかと予想しています。時間があればQuickShiftに似たロジックの実装にも挑戦してみようと思ってますが、あくまで予想に過ぎませんし、全く見当外れかもしれません。ですが少なくともRSIやボリンジャーバンドなど単純なオシレーター系指標を用いた逆張りロジックではないような気がしています。

こういった波動理論の根底にあるのは、需給バランスが一時的に崩れてたらすぐに元に戻るはずだという考え方があります。上がりすぎたら売りたい人が増えるから下がるだろう、下がりすぎたら買いたい人が増えるから上がるだろうという理屈です。この理屈が通用するのはあくまで市場に大きな変動材料が無いことが前提です。相場を大きく動かす何かが市場に持ち込まれた時、当然この理屈は通用しなくなります。

簡単にまとめるとQuickshiftは、
・ファンダメンタル要因(経済指標発表、金利の変化、大きな事件・・・)が無い相場には滅法強い。
・ファンダメンタル要因によって相場が一方的に動くと全く対応できない
といった印象を受けています。
大きなニュースで相場が一気に動くと対応できないのは、逆張り系ロジックの宿命とも言うべきか、仕方の無い部分もあるかとは思います。そこは他のストラテジーとの併用でカバーする方向で考えるべきと思います。これまでも負ける時期もそれなりにあった中でコツコツとリターンを積み重ねてきているので、ある程度長いスパンでウォッチしていく必要がありそうです。


秀逸なリスクリターン率

ここで『リスクリターン率』を見てみたいと思います。リスクリターン率とは、その名からも想像できる通り、リターンをリスクで割った値です。
システムを評価する際に非常に重要になってくるパラメーターです。

リスクリターン率 = リターン ÷ リスク

細かい定義はいろいろあるのですが、ここでは

リターン = 1年間の利益
リスク = 最大ドローダウン

とします。

先ほど書いた通り、QuickShift20通貨ペア運用の場合「リターン = 10万5千円」「リスク = 10万円」となるので、

リスクリターン率 = 10万5千円 ÷ 10万円 = 1.05

となります。
投資においてリスクリターン率が1を上回るというのはかなり優秀で、年間の期待利益が最大ドローダウンを上回っているということを意味します。十分な稼働期間と取引回数を経た上でリスクリターン率が1を上回っているなら、基本的には積極的に投資すべき対象だと言えます。

リスクリターン率は稼働実績が短いストラテジーだとブレが大きく、偶然でとんでもなく大きな値になったりする場合があるのであまり参考にならないのですが、QuickShiftほど長い期間稼働しているストラテジーのリスクリターン率は一定の信頼を置くことができるかと思います。長期間稼働したうえでリスクリターン率が1を超えているストラテジーはミラートレーダーには数えるほどしかありません。少なくとも過去のパフォーマンスに限って言えばQuickShiftは全ストラテジーの中でも間違いなく上位に位置します。

気になる2015年のパフォーマンス

システムトレードで難しいのは、システムのパフォーマンスは永続的に続くわけではなく変調するということです。変調する原因は様々ですが、ざっくりと2つあります。

変調の原因1,相場の変化
為替相場の傾向は年月とともに変化します。したがって以前は相場にフィットしていたシステムが年月とともにフィットしなくなるということが起こりえます。

※相場の変化の具体例:
・2008年リーマンショック以前と以後の相場傾向は違う
・2015年1月スイスフランショック以前と以後のスイスフランの相場傾向は違う


変調の原因2,ストラテジー仕様変更の失敗
これは知らない人も多いかもしれません。ミラートレーダーのロジックはユーザに断りなく変更される場合があります。言い換えると勝手に変更することが許されています。このことの良し悪しは別途触れるとして、基本的に仕様変更される場合、開発者は良かれと思ってやっているはずなので仕様変更はプラスに働くことが多いと信じたいところではあります。しかし中には改良のつもりが改悪になってしまうことが多々あることも想像できます。


このことを踏まえたうえで、2015年に入ってから絶不調なQuickShiftのパフォーマンスを分析してみます。個人的にQuickShiftのパフォーマンス変調はまだ見られない思っています。

1,中長期ロジックは相場の変化によるパフォーマンス変調が起こりにくい
2,もともと多通貨で通用する汎用的なロジックのため、すべての通貨で使えなくなる可能性は低い
3,あからさまにロジックが変更されたような形跡は見当たらない

何より、最近のQuickShiftのドローダウンは、2015年1月のスイスフランショックおよび直後の異常に値動きの大きい相場の中で受けたのがほとんどです。かなり特殊な相場状況の中で生まれたドローダウンですので、あくまで今後のパフォーマンスを予測するのを目的とするならば1月のことは排除して考えたほうがよいと思います。そんなわけで1月の成績を無視して2月以降だけを見ていくと、パフォーマンスはこれまでとほとんど変わっていません。行動の早い人ならQuickShiftに見切りをつけてもおかしくない負けっぷりですが、私ならもう少し様子を見ます。

長い目で見ることが大事

QuickShiftは各通貨ペアとも、年間で30回前後しか取引を行いません。これだけ取引回数が少ないと、偶然性による成績のバラつきはかなり大きくなります。ほんの少しの運だけで数ヶ月負け続けたり、逆に数ヶ月大勝ちしたりということが平気で起こってきます。したがって毎日、毎週のようにQuickShiftの成績について一喜一憂するのは得策ではありません。QuickShiftのような取引回数が少なくてかつ1回の取引が長いストラテジーは半年ないし1、2年といったやや長めのスパンで成績を追うべきだと考えています。

直近の1年間、2014年4月~2015年3月に関しては、トータル収支がマイナスになっています。これほど安定的な成績を残してきたQuickShiftですら、1年間運用してマイナス収支というのが普通にあり得るのがミラートレーダーです。短いスパンの収支だけに捉われて大局を見失わないようにすることが重要です。

トレンドフォロー系のストラテジーと組み合わせると安定しやすい

Quickshiftを多通貨ペアで運用している人は非常に多いようです。私もQuickshiftは16通貨ペアで運用しています。ただ、Quickshift多通貨運用の良くない点としては、ストレテジー同士の相関係数がそこそこ高い点が挙げられます。要は「勝つときはどの通貨ペアも勝つし、負けるときはどの通貨ペアも負ける」といったことが起こりやすく、ドローダウンが重なりやすいのです。15通貨~20通貨に分散運用したとしてもそこまで分散効果が高くないのが現実です。ただしそれでも1つや2つの通貨ペアだけで運用するよりは、多通貨ペアで運用した方が遥かに安定感は増します。

過去のデータを見ても、QuickShiftが大きめのドローダウンを記録するのは相場が一方的に大きく動く強いトレンド相場が多いです。このようなタイミングで活躍するのは、トレンド方向にポジションを取る所謂「トレンドフォロー系」のストラテジーです。したがってQuickShiftとトレンドフォロー系のストラテジーを組み合わせて運用することで、ちょうど弱点を補う形になってポートフォリオ全体が安定しやすいです。

いつもポジションを持っているリスク

Quickshiftの特徴として、ポジションを持たない期間が非常に短い点が挙げられます。買いポジションを決済したと思えばすぐさま売りポジションを新規で持つ、いわゆる「ドテン売買」を頻繁に行います。人によっては「ポジションを長い時間持つこと自体がリスクである」と捉える人もいて、私もこの考えに一定の共感をしています。具体的に言うと、先日のスイスフランショックのような異常な相場に出くわした際に、常にポジションを持っているようなストラテジーは非常に高い確率で影響を受けてしまうというリスクがあります。QuickShiftは相場が非日常的な動きをした場合に、その影響をまともに食らう確率が高いストラテジーだと言えます。

ストラテジー公式記録と取引実績の差異

ミラートレーダーではストラテジー公式記録と実際の取引には差分が生じます。最も大きい要因はスプレッドの違いによるものです。その他スリッページ、スワップ、サーバーや回線の状況などによって差が生まれることもあります。

quickshift2

・2014年7月~2015年のデータを基に逆算すると、「公式記録とFXDD実績を比較するとFXDDのほうが1取引あたり約0.5pips有利」になったため、それにFinalCashBackの0.75pipsを加えて代入して算出しています。

■考察
FXDDはスプレッドが狭いため、多くのストラテジーで公式記録より良い成績になります。ですがQuickShiftの場合はそれほど大きな差は出ませんでした。もともとQuickShift公式記録のスプレッドがさほど悪くないこと、取引回数自体があまり多くないためスプレッドの影響がそもそも小さいことが要因です。しかしそれでも1K運用でも年間で約8,000円、5K運用なら年間約40,000円、10K運用なら年間約80,000円の差がつく計算になります。逆にスプレッドが狭くないFX会社を使っている場合は、公式記録よりもかなり悪い成績しか出せない可能性が高いです。

QuickShiftの見切り時

QuickShiftが相場に合わなくなってきた場合、いつ運用をやめるかというのは非常に難しい問題です。QuickShiftは見切り時が最も難しい部類に入ります。全通貨ペア運用を一斉にやめるよりは、個別に調査して、あからさまに大きな損切りの連発が目立つ通貨ペアだけを外してみたり、勝率がずっと30%を下回るなど低調な成績の通貨ペアを外すといった風に、通貨ペア別で対応したほうがよいかもしれません。

QuickShiftは年間取引が30回前後と非常に少ないため、運によるバラつきだけで成績が大きく変動します。取引回数の少なさがパフォーマンス変調を見極めるのが難しい要因の一つです。取引回数が少ないため、ちょっとツイてないだけで数ヶ月ぐらい平気で負け続ける可能性は十分ありますし、これを変調だと誤判断して運用をやめてしまう危険があります。1つの通貨ペアだけしか見ないと、確率論的に母集団(=取引回数)が少なすぎるために、適切な判断を下すのが困難です。それならば「GBP絡みが調子悪い」「NZD絡みが調子悪い」といったように同じ通貨を含んだものすべてを対象にして、見切りの判断をつけるほうが誤判断は減らせるでしょう。

QuickShiftの想定最大ドローダウン

個人的には10,000pips程度で想定しています。言うまでもないことですが、これまでの最大ドローダウンというのはあくまで過去の実績に過ぎませんし、将来これを上回るドローダウンが起こらないとは限りません。慎重を期すならばさらに1.5倍、2倍程度のドローダウンを想定してもいいかもしれません。厳密にどのぐらいのドローダウンまで起こりうるのかなんて誰にもわかりませんし、それこそストラテジーの開発者だってわかりません。科学的にアプローチしても確率論で幅を持たせたドローダウン予想値を出すのが関の山ですし、それすらあてになるかどうかはわかりません。このことを前提にしたうえで、最大ドローダウンがどれぐらいになるかを予想するというのはあくまで自己責任の範疇になってきます。その点ご留意下さい。




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