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2016年9月28日

イタリアに行ってきた

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7泊9日でイタリア旅行に行ってきた。素晴らしい時間だった。どんな素晴らしい瞬間であっても時の経過と共に記憶は徐々に薄れるものであって、それはなんだかもったいないという想いから、せっかくなのでちょっと記録に残してみることにした。

古代ローマ遺跡の神秘

ローマの遺跡巡りは感動の連続だった。2000年以上前は原型を保っていたであろう建物の大部分は消失、損傷しているわけだが、当時の建物の形を脳内で再現し、人々がそこにいたことをイメージしながら歩き巡った。

古代ローマ文明が「石」と「レンガ」の文明である一方で、日本は「木」の文明である。石やレンガの建造物は比較的長期間に渡って体裁が保存されやすいのに対し、木の建造物は耐久年数が短い。そんな建造物が長く残りづらい日本という国に住んでいる身としては、2000年という途方もない期間を耐え抜いた建造物を見たことがないので、ただ感動するほかなかった。あの感じを言葉で表現するのは難しい。強いて言うなら自分という存在がとんでもなく微々たるもの思えてくる不思議な気分だった。どれだけたくさんの人の力でこの文明が創られたか。どれだけたくさんの人がここで命を落としたか。格別なスケールを目前にしてそれこそ自分や身の回りのことなんてどうでもよくなるような感覚だった。自分もそうだが、なにも特別に歴史が好きなわけでなくても相当楽しめると思う。

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フォロ・ロマーノ。主に帝政ローマの施設跡。

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コロッセオ(闘技場)。現代のスポーツ競技場に似た造りが2000年も前に既に存在していたことに驚いた。

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古代ローマ遺跡に野うさぎがいた。写真ではわかりにくいがかなりデカい。

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場所変わってフィレンツェの街並み。街全体が文化遺産といってもいいような古風でとても素敵な情景だった。

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同じくフィレンツェのドゥオーモの天井。フィレンツェではルネッサンスが興りたての頃の作品を多数見ることができた。

イタリア人の気質

イタリア人はとにかく明るくて社交的だ。イタリアにいると本当に元気を貰える。美的センスがすごくよくて街も人もとてもオシャレだ。このあたりは訪れる前に抱いていたイメージそのままだったかもしれない。
素敵な気遣いができる人がたくさんいた。印象的だったのが、あえて少しだけ遠回りして夜景の綺麗な道を走ってくれるタクシーの運転手がいたこと。観光客としてはとても嬉しかった。

一方で細かいところはかなりテキトーだった。発展途上国ならいざ知らず、イタリアほどの先進国でもこんなものなのか?と思うことは多々あってそれはそれで面白かった。逆に日本人がいかに神経が細かいかということが改めてよくわかった。

・そこそこちゃんとしたホテルであっても平気でコンセントが斜めに設置されてたりする。

・地下鉄のドアの開閉時にありえないほど大きな音でバキって鳴る車両があった。どう考えても設置ミス。ドアに挟まれた日には死ぬんじゃないかと思った。

・電車やバスでキセル乗車をやろうと思えば簡単にできてしまいそうなケースが結構あった。先進国とは思えないぐらい乗車ルールがだいぶん大雑把だった。

・トイレに便座が無いことがしばしば。(これはテキトーというより単純に文化の違いなのか?)

・「タバコ吸いたいからライター貸してくれ」 → 「ついでにタバコもくれ」 —–日本ではこんな経験一度もないが、イタリア滞在中に何度かあった。

・テレビ番組の制作費かけてない感は異常。番組のクオリティは日本の昭和30年代~40年代のそれに近かった。国内番組だけじゃとても成り立たないので、海外の番組を多数放送。「ドラえもん」「セーラームーン」のイタリア語版が放送されているのを見た。

・街中の至る所が落書きだらけ。そこに書いちゃまずいだろうっていう歴史的建造物にも落書き多数。ただ中にはセンスを感じるオシャレな落書きもあって素敵だと思うものもあった。

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写真はミラノのナヴィリオ地区にある運河。訪問時、運河の中は船も見当たらなければ人もいなかった。ロマンチックな景色の中、唐突に運河にボートを浮かべて裸で酒を飲んでる2人の少年がいた。あまりにフリーダム、突拍子もなさすぎて唖然とした。

こんなまとめを見つけた。ここに書いてあることは自分が感じたことと概ね近かった。
-イタリア人ってこんな人達。性格、行動 – NAVER

以下一部引用
>性格は一般的に明るいです。言い換えれば脳天気。物事を真剣に受け止め、考えるようなことは人生の無駄。その時が良ければ、その後のことはあまり考えません。政治的にも同じ事。

>イタリア人の一日は人とのコミュニケーションを通して成り立つともいえるほど話好きです。とりわけ年配になるほど人なつっこく、聞き手の事情など知ろうともせず、自分の会話が一通り終えると何もなかったように去っていきます。

>シンプルで分かりやすい。逆にストレートすぎる時もある。

イタリアは地域によって人の種類が全然違う

今回の旅行で、北からミラノ→フィレンツェ→ローマと回ったが、それぞれの市民は見るからに異なるタイプの人たちだった。たとえば日本でも、北海道から沖縄県までいわゆる県民性の違いのようなことを論じられることがあるが、イタリアの地域差はその比ではなかった。それこそもう地域によって市民の骨格レベルからして全く違う人種のようにさえ思えた。

ものすごく大雑把に言うと、
ミラノ市民:格好いい、美しい。体格が大きい。スタイリッシュなイタリア人のイメージはこっちが近いかもしれない。
ローマ市民:陽気。社交的。混血の人が多い。
というイメージだった。

イタリアが今のようにイタリア半島で一つの国家として統一されたのは比較的最近で1861年の話であって、半島統一からまだ150年ほどしか経っていない。それ以前は「○○公国」といった小さな国が多く乱立しており、それぞれが別の文化・民族によって形成されていたことを考えたら、いまだに地域によって人の種類が全然違うのも少し納得がいった。

イタリアにはスリが異常に多いスポットがある

滞在中にスリに遭いかかった。体を接触され、油断していると財布を盗られそうになった。

イタリアの犯罪率は世界水準で見て特別高いわけでもなく、むしろ日本の犯罪率の低さが特異なのだけれども、イタリアにはスリ・盗難が集中して起こっているスポットがある。
– http://www.it.emb-japan.go.jp/nihongo/ryoujijouhou/adobaisu.pdf

■年間スリ認知件数
日本:5,000件
イタリア:130,000件
※参考:日本の人口 1億3千万人。イタリアの人口 6千万人

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写真はスリ集団の女の子たち。どうやらイタリアの主要駅「テルミニ駅」で、アジア人観光客など格好のターゲットを見つけては、四六時中スリをやって身銭を稼いでいるようだった。ユニット名は『ピックポケットガールズ』(現地で勝手に命名してみた)。
『ピックポケットガールズ』は全部で4~5人いて、恐らくみんな10代で割と可愛らしい感じだった。彼女らはこちらが地下鉄の切符を買おうとしているところに「切符買い方わかる?」と親切そうな顔で話しかけてきながら体がくっつくぐらいまで接近してきた。たまたま直前に「あの女の子たちはスリ集団だから気をつけな」とわざわざ指さして教えてくれたおじさんがいたため、こちらも最大限警戒していて被害に遭うことはなかったが、もし無警戒のまま女の子たちと話し続けていたら、4~5人の女の子たちの連携プレイでサクっと財布を盗まれていたかもしれない。危うくカモにされかかったことに腹が立ったので、なんとなく彼女らの写真をアップしてみた。(写真は自分から離れた後、次のターゲットを探しているところ。)

あとその他にスリの王道手口として、満員電車の発車直前に乗客が皆が押し合い状態になっている中で、電車の外からスッと車内に押し入り、さりげなく財布を盗み取り犯人は電車に乗らないままドアが閉まり、そのまま逃走するというパターンが多いらしい。

変な話、海外観光客はポケットマネーを比較的たくさん持ってる可能性が高いわけで、1日1件でもスリに成功すればかなり割はいいんじゃないだろうか。もし捕まるリスクを恐れていない人がたくさんいるとしたら、そりゃスリは無くならないだろう。

イタリア料理は最高だった

正直、日本を出発する前は、日本のイタリア料理の方がおいしかったりするんじゃないかなんて考えもあったが、そんな考えはとんでもなく浅はかだった。

ピザ、パスタ、肉料理、魚介料理・・・・どれも無茶苦茶おいしい。特に小麦粉系の料理に対するイタリア人の神経の細かさを強く感じた。イタリアのスーパーではパンの種類、パスタの種類が日本の比ではなく豊富だった。微妙な成分の違い、太さ、硬さなど、ちょっとした違いをイタリア人皆が敏感に感じ取っているんだなということが伺い知れた。滞在中に何度もイタリアンを食べたが、どれも本当においしく、ハズレらしいハズレは一度も無かった(空港で食べたイタリアンだけはちょっと外れだったかもしれないが・・・)。イタリア料理が好きな人だったらきっと本場の料理はすごく楽しめるんじゃないかと思う。

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トリュフのクリームパスタがめちゃくちゃ美味しかった。値段は約13ユーロ(≒1,400円)。

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ミラノにある老舗ピザ屋、「スポンティーニ(Pizzeria SPONTINI)」。値段はわずか4ユーロ(≒450円)でかなり大きいピザが食べられる。

イタリアにある日本料理屋のホスピタリティ

日本人はやっぱり凄い。

イタリア滞在中にあえてイタリアの日本料理屋に2度行った。当然と言えば当然だが、味は日本より落ちるうえに値段はすごく高い(今回行った店では枝豆600円、味噌汁500円、寿司1貫300円~1000円、うどん1500円・・・)。それでも日本国内のように食材を揃えるのが難しい中、頑張って日本の味を再現しようとしている努力は伝わってきた。なによりも『おもてなしの心』がすごく、接客の丁寧さ、店内の清潔感など、イタリアにある同じぐらいの価格帯の飲食店とは比べ物にならないホスピタリティを感じた。あれを体験したイタリア人はまず間違いなく「日本すごい!」となるだろうと思う。日本から遠く離れた地で、日本の価値を高める仕事に励んでる人がいることを知り、一途に頭が下がる思いだった。

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イタリアにある飲食店の中でも日本料理屋は清潔感が桁違いだった。間違いなく日本という国のイメージアップに貢献している。

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こちらは回転寿司屋。日本的な装飾とイタリア的な装飾が融合したとてもオシャレで不思議な空間だった。

話は変わって、今回、ローマ市中に在るバチカン市国にも行ってきたのだが、ローマ教皇が市民の前で話す際に使われる広場に設置されている大型ビジョンはパナソニック製だった。ここは頻繁に世界中に放映される場所なので非常に重要なビジョンのはずで、最高級のビジョンが使われるべきであり、それがパナソニック製だった。その他にも重要な場で使われている電化製品はパナソニック、シャープ製がとても多く目についた。

あとイタリアのテレビCMでなぜか鹿児島旅行をやたらと推しているのを見た。「Sakurajima!」「Tanegashima!」「Sho-Chu!」と字幕が出ていたのが印象に残った。てっきり海外観光客は日本旅行と言えば「東京」「京都」「広島」ぐらい選択肢がない人が多いのかなぐらいにしか考えていなかったが、思っていた以上に日本認知は進んでいるようだった。

自分は何も関係ないけども、こういったことは純粋に日本人として嬉しかった。

法律ってなんだっけ

愛煙家の自分としては(実際はただのヤニ中毒なのだが、いい風に言ってみる)、最高に幸せな国だった。表向きには「イタリアでは公共の場での喫煙は一切禁止。破ると罰金が科せられる」と聞いていたので心してかかったのだが、いざ訪れてみるとルールはどこへやらという感じだった。みんな道路から駅のホームから至る所で勝手にタバコや葉巻を吸いポイ捨てする人ばかりで、警察も取り締まる様子は全くなく、ルールってなんだっけ状態だった。思い起こせば日本でも10~20年前まではどこでも歩きタバコ・ポイ捨てをする人が多かったが、イタリアではそれを上回ることが今もなお起こっていた。郷に入らば郷に従えではないけども、自分も日本では決してできない歩きタバコを気ままにやり続け、一昔前の日本を思い出すような気分を味わっていた。それはそれで解放感があって楽しかったけれど、これが日常だとさすがにちょっとしんどいなというのが正直な感想だった。

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駅の線路はタバコの吸殻まみれ。ヘビースモーカーな自分ですらこれはキツいと感じた。

まとめ

とにかく面白かった。またイタリアに行きたい。こんな短い期間でも海外の文化に触れることで、逆に日本で当たり前になっていることが当たり前ではないことに気づき、逆に日本について新しい発見がたくさんあったという意味でもすごくいい時間だった。